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- 2019.01.21
- 夫の遺言の相談に来たが生前贈与をすすめたケース
状況
Мさん(60代・女性)が相談に来られました。
入院中の夫が余命わずかとのことで、夫(70代)に遺言を書いてもらいたい、とのことでした。
話をくわしく聞くと、Мさん夫婦の間には子供がなく(夫の両親もすでに亡くなっており)、このまま夫が亡くなると、夫のきょうだい(亡くなったきょうだいの子供を含めると約10人)全員からハンコをもらわなければ自宅を相続できなくなってしまう、とのことでした。
当事務所からのご提案
自宅(土地・建物)以外には夫名義の目ぼしい財産はほとんどないこと、自宅(土地・建物)の夫婦間贈与の場合、一定の条件(結婚後20年以上経っていること、土地建物の評価額が2,000万円以下)を満たせば贈与税がかからないこと、今回の土地建物は評価額が比較的安く、生前贈与のデメリット(登記の登録免許税率が遺言の場合より高い、不動産取得税がかかる等)がさほどでもない、等の理由により、遺言ではなく生前贈与により移転登記をすぐやってしまうことを提案しました。
結果
夫の意思確認がちゃんとできるかどうか、一抹の不安がありましたが、病院に千保司法書士が行ってみたところ、問題なく本人の意思確認ができました。
贈与による移転登記に必要な作業を終え、千保司法書士が帰る間際、夫は自分の妻に対し、「よくやった、よくやった」とねぎらいの言葉をかけました。自分亡き後の妻の住居のことを夫もずっと心配していたのでしょう。胸を打たれる光景でした。
翌日、法務局に移転登記を申請し、一週間ほどで登記が完了。それから数日後、Мさんの夫は旅立ちました。